Emotiomal story Case02
Chapter01
結婚式当日に、
サックスを吹いて新婦を驚かせる
「結婚して家庭をもったら、本当は家族みんなで演奏をやりたかったのよね。でも、あなたは楽器なんて、なーんにもできないでしょ?残念だなぁ」
打ち合わせで、ピアノが得意な新婦久美子さんがポロリとこぼした一言に、小原は心のなかでニヤリ。
新郎と2人きりになったときを見計らい、さっそく声をかけた。
「あんなこと言われて、悔しくないの?」
新郎の気持ちに火をつけて、新郎 一磨さんと小原はコッソリと打ち合わせを繰り返し、出した結論。
「結婚式当日に、サックスを吹いて新婦を驚かせる」。
幸い、結婚準備期間は1年間。挙式当日まで365日近くある。その日から、新郎の猛特訓が始まった。
Chapter02
数え切れないほど繰り返された練習
それなりに大きな音の出るサックス。家のなかで練習は出来ない。さらに、おふたりは一緒に住んでいたため、練習に使うサックスを新郎宅へ置いておくこともできない。
新郎 一磨さんと小原は相談し、練習場所は、近所の広い公園で。
時間は、新郎 一磨さんの仕事が終わってから。サックスの練習には、小原の友人のサックス奏者にレッスンを依頼 湖のほとりで夜遅くまでの練習スタジオ通いが続いた。
数え切れないほど繰り返された練習。少しずつだけど、サックスの腕をあげていく新郎 一磨さん。
そして1年後。結婚式当日。
Chapter03
僕のサックスを聴いてください
挙式がとどこおりなくすすみ、ゲストを招いた披露パーティーの席で、ついにその瞬間はやってきた。サプライズの瞬間。
「1年かけて久美子のために練習してきました。ボクのサックス、聞いてください」。
滑らかなやさしい音を奏でるサックスの演奏。驚く新婦。演奏が終わるころには、新婦もゲストの目にも涙がにじんでいた。
新郎は語る「練習はツラかったけど、やってよかった。子どもが生まれたら、家族で音楽演奏会をしたい。練習に付き合ってくれた小原さん、ありがとう!」